2020年8月29日 (土) 16:22
口は、ウイルスなどの病原体が入ってくる入り口です。
口を健康に保つことは、感染症対策に大いに役立ちます。
コロナ対策としても知っておきたいことを、大阪大学歯学部付属病院顎口腔機能治療部の阪井丘芳教授に聞きました。
コロナウイルスは、受容体と考えられている『ACE2』に結合し、ヒトの細胞へ侵入します。
ACE2は肺だけでなく、体のさまざまな細胞に発現していますが、唾液腺にもかなり存在することが大掛かりなデータベースで判明しています。
つまり、唾液腺にコロナがまず感染し、唾液腺から分泌した唾液を介して体内に拡散している可能性があるのです。
そこで重要になってくるのが「むせる力」です。唾液などが誤って気管に入ると、通常はむせたり咳き込んだりして気管外に唾液を吐き出します。
ところが高齢になってむせる力が衰えると、それができない。これを不顕性誤嚥といいます。
コロナウイルスを含む唾液が気管にとどまって気管がコロナウイルスに感染し、ウイルスが肺にまで広がり、肺炎を起こしてしまうのです。
高齢者は誤嚥性肺炎で命を落とすリスクが高いが、これは不顕性誤嚥を起こしやすいからです。
同時に、不顕性誤嚥でコロナへの感染・発症率も高くなると考えられます。
そうならないためにはよく噛んでしっかりのみ込んで喉の筋力が低下しないよう努め、
唾液のウイルスを少しでも減らすため、うがいや歯磨きなどの口腔ケアを徹底して行うことが必要です。
徹底した口腔ケアが肺炎やインフルエンザの発症率を抑えることは、複数の研究で証明されています。
コロナに関してはまだ研究がなされていないものの、同様の結果が期待できます。
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