2024年6月17日 (月) 08:37
十分に睡眠をとっていても疲れがとれない、しっかり歯の手入れをしているのに歯が痛い……。
そんな人は寝ている間に「歯ぎしり」をしている可能性がある。
そのまま放置していると、歯周病が悪化する危険もある。
大阪大学大学院歯学研究科が8000人を対象にした調査では、
小児の約20%、成人の5~10%、高齢者の4~5%に歯ぎしりが見られたという。
歯ぎしりは、体にさまざまな悪影響を及ぼします。
歯が大きくすり減って痛みが生じたり、歯が欠けたり、割れてしまうケースも見られます。
また、歯周病がある人に歯ぎしりがあると、歯周病の進行が加速して悪化する危険が高くなります。
歯ぎしりで歯茎に大きな力がかかり、歯を支えている歯槽骨の吸収が急速に進むためです。
ほかに、顎の痛みや顎関節症、頭痛や肩こりの原因にもなります.
歯ぎしりの対症療法として、『ナイトガード』と呼ばれるマウスピースを作製し、
就寝時に上の歯に装着する方法が一般的です。
歯にかかる力を分散させ、歯の摩耗を防いだり、
歯が欠けたり詰め物やかぶせ物が外れてしまうことを防ぐために効果的です。
マウスピースは歯科医が歯型を取り、患者さんの歯の大きさや傾きなどを確認して、
フィット感を調整しながら作製します。
日常的なストレスを解消したり、生活習慣を見直すことで歯ぎしりが改善するケースもあるが、
根本的な原因を取り除くのはやはり難しい。
歯ぎしりが気になっているなら、まずは歯科医院を受診して相談したい。
2024年5月15日 (水) 15:23
「緑茶に含まれる渋み成分のカテキンを、
虫歯予防に使われるフッ化物(フッ素を含む化合物)と併用すると予防効果が高まる」
そんな実験結果を、東北大学大学院歯学研究科の口腔生化学分野の高橋信博教授が報告した。
これまでに、カテキンが細菌の酸の産生(酸産生)を低下させることを明らかにしているが、
今回、カテキンにフッ化物を組み合わせた場合の細菌の酸産生を調べた結果、
虫歯に関連するミュータンス菌による酸産生は、カテキン単独でも抑えられたが、
フッ化物を組み合わせるとより強い抑制効果があった。
虫歯ができやすい酸性の環境では、この働きがさらに強くなることも示された。
虫歯予防の特効薬はない。歯磨きによるプラークコントロール、
フッ化物の塗布やうがいを励行することや、糖分を頻繁に取り過ぎないことが重要だ。
高橋教授は「かかりつけ歯科医師による定期検診と口腔ケアを受けることも大事。
虫歯が進行すると、自然には治りませんので注意が必要です」と呼び掛けている。
2024年1月23日 (火) 19:32
地震災害時は水はかなり不足します。
非常に貴重な水ですので、それを使って歯磨きをしたりとかができないので、
口の中がずいぶん汚れた状態で生活をすることになります。
そして、歯周病の菌というのは、結構悪玉、つまり毒性の強い菌が混じっています。
これを飲み込んでしまうと非常に治りの悪い、重症の誤嚥性肺炎を起こしてしまうと言われています。
例えばウェットティッシュのようなもので歯の表面を拭いて、そうするとつるっとしてくる。
ヌルヌルした感じが取れたら、それだけのぶんは細菌の数が減っていると考えてもと良いと思います。
歯の表面を拭き取るのは、乾いたティッシュ、そしてハンカチなどの布でも代用できます。
また、誤嚥性肺炎につながる細菌は、入れ歯にも付着していることがあるため、
入れ歯も同様の手入れをしましょう。
そして、口内ケアが必要なのは高齢者だけではありません。
避難生活下では、糖分の多い食事を取ることも多いため、
虫歯や若年性の歯周病を防ぐためにも、子どもの口内ケアも必要です。
忘れがちではありますが、家庭に常備している防災グッズには、
歯磨きや液体のマウスウォッシュを入れておきましょう。
2023年11月20日 (月) 09:43
口臭はお口が原因となる口臭と、全身の健康が原因となる口臭に大別されますが、
前者が口臭の98.5%を占め、圧倒的に原因はお口の中にあると言えます。
お口が原因の口臭は「生理的口臭」と「病的口臭」に分かれ、
生理的口臭とは舌の表面の汚れが原因となる口臭です。
病的口臭とは歯周病が原因の口臭で、その比率は3対7となっています。
このように口臭の原因のほとんどは舌の汚れか歯周病が原因なので、
丁寧に歯磨きをしても効果的ではないというわけです。
一度に3~5回程度、表面を擦って、1日に1~2回程度繰り返すと、
汚れは取れてキレイな舌になります。
もし、一度で完全にキレイにならなくても、
回数を重ねることで、徐々にキレイになってきます。
2023年8月28日 (月) 08:13
高齢者では肺炎を繰り返す方がしばしばおられます。
年齢のせいだ、飲み込む力が低下している、など色々な見解がありますが、入
れ歯の存在は意外に軽視されているように思われます。
近年、入れ歯と肺炎の関連を示すデータがそろってきました。
入れ歯は毎日洗浄する必要があります。
入れ歯を毎日洗浄していないと、高齢者の肺炎のリスクが1.3倍高いというデータも存在します。
しかし、洗浄して適切に着用すれば、誤えんを減らすことができるので、
むしろ「正しく使用した入れ歯は肺炎を減らす」という見解もあります。
また、夜は入れ歯を必ず外して寝るようにしましょう。
睡眠中は唾液の分泌が減少し、細菌が増殖しやすくなるため、
入れ歯をつけたまま寝ると肺炎のリスクが2倍以上高くなることが分かっています。
2023年4月30日 (日) 16:24
「ジュース類を飲むと、歯が溶ける」という説を耳にしたことがありますがこれは本当でしょうか。
ジュース類を飲むと歯が溶けるわけではなく、
口内のpHが酸性に傾く時間が長いと、歯が溶けるというのが正確です。
ジュース類のほとんどが酸性であり、コーラはpH2.2、スポーツ飲料はpH3.8くらいとされています。
数値で見ると、ものを溶かす性質を持っています。 口内は平常時、pH7の中性に保たれています。
ジュース類自体が持つ酸や、むし歯菌が飲食物に含まれる糖を分解して作り出す酸によって、口内のpHが低くなります。
そうすると、歯の表面のエナメル質からリンやカルシウムが溶け出します。
この現象を「脱灰」と呼びます。 その後、唾液が食後30分~1時間かけて口内のpHの値を中性に戻していきます。
そうすると、溶けだしたリンやカルシウムが歯に戻ります。これを「再石灰化」と呼びます。
ジュース類を飲んで、口内のpHが酸性に傾く「脱灰」の時間が長いと、むし歯になるのです。
ジュース類のpHではなく、口内のpHが重要です。
一番よくないのは、だらだら飲んだり、食べたりすることです。チョコレートや飴をだらだらと食べ続けていると、
口内のpHが酸性優位な環境となり、むし歯になりやすくなります。
2023年3月23日 (木) 11:10
歯が染みる「知覚過敏」とは、歯の神経が何らかの原因で刺激を感知している状態。
加齢で歯肉が下がったり、歯がすり減ったり、治療済みの箇所が敏感になったりしていることなどが原因だ。
20~50代の560人を対象にした日本歯内療法学会による調査(2022年9月実施)では、
過去に歯が染みる経験がある人は65.4%で、そのうち1カ月以内に歯が染みた人は41.5%いた。
また、過去に歯が染みた人のうち、32.0%が「知覚過敏と思ったが、歯科医に虫歯とされた経験」があった。
知覚過敏が一時的な痛みであるのに対し、虫歯は慢性的でずきずきとした持続的な痛みになる。
虫歯が悪化すると歯に穴が開いたり、黒くなったりするが、初期の段階では肉眼で分かりにくく進行してしまう。
歯が染みる経験をしたときは、自己判断せずに歯科医院を受診することが大切です。
自分では完璧にブラッシングしているつもりでも、奥歯など目に見えないところは磨き残しが多い。
細かい部分の汚れは取りきれないので、歯科医院でのプロフェッショナルなケアが重要です。
医院とうまく付き合うことが長期的に歯を保つこつと言えるでしょう!
2022年11月24日 (木) 06:59
高齢者の歯と幸福に関する先行研究は少ない状況です。
本研究では、東北大学が「歯の本数」と「歯科補綴物の使用」の2つの口腔の指標と、
自己評価による幸福感の関係について調べました。
自己評価による幸福感はwell-beingの大切な指標の一つです。
2016年調査の横断研究による178,090人の高齢者の解析の結果、歯数が多いほど幸福感が高かったです。
また、歯数が20歯以下の場合では、歯科補綴物を利用しない人に比べて、利用する人で幸福感が高かったです。
歯数が20歯以上である人たちには、歯科補綴物の利用は幸福感と関係しませんでした。
この結果は、歯の喪失を防ぐこと、そして歯が少ない人では歯科補綴物を使うことが、
幸福感を上げる可能性を示唆しています。
※本研究では、歯科補綴物の使用を、入れ歯(義歯)やブリッジ(取り外しのできない義歯)や
デンタルインプラントの使用と定義しています。
歯がないまま放置せず、左右の奥歯で噛めるようにしましょう!
2022年10月13日 (木) 09:58
近年、睡眠はさまざまな病気と関係していることがわかっている。
睡眠不足になると、がん、心臓病、糖尿病、認知症、うつ病などの
リスクが高くなると報告されていて、さらには「歯周病」にもかかりやすくなるという。
睡眠不足になると、自律神経のバランスが乱れ、病原体を排除するNK細胞の活性が低下したり、
免疫システムに広く関わるIL-2というサイトカインの産生が抑制されることがわかっている。
免疫力が低下すれば、口腔内の歯周病菌が増殖しやすい環境がつくられることになる。
また、睡眠時間が短くなると唾液の量が減少する。
唾液には、口腔内の細菌や食べ物のカスを洗い流す洗浄作用や、
口腔内に侵入した細菌の活動を抑え込む抗菌作用があるため、
分泌量が減ると歯周病を招くリスクがアップする。
米国で行われた大規模研究では、睡眠時無呼吸症候群(SAS)などの睡眠呼吸障害(SDB)がある人は、
そうでない人と比べると、重度の歯周病を合併している調整オッズ比が無症状の呼吸障害で40%、
軽度で60%、中等度及び重度で50%高かった。
ほかにも、東北大学が高齢者を対象に実施した調査により、
残っている歯の本数が睡眠時間に影響することがわかっている。
同じく残っている歯が1~9本の人も、短時間睡眠のリスクが1.3倍、
長時間睡眠のリスクが1.5倍高いと報告している。
睡眠不足も歯周病も、がん、心臓病、糖尿病、認知症といった全身疾患のリスクをアップさせる。
健康長寿のためには、質の良い睡眠と口腔ケアは欠かせない。
2022年8月13日 (土) 17:43
日本小児科学会は7月21日、
フッ素入り子供用歯磨き粉の誤食による急性フッ素中毒疑いに関する傷害速報を発表した。
1歳5カ月の男児が自宅で嘔吐し、嘔吐物に歯磨き粉が少量含まれていたことから、
誤食による急性フッ素中毒が疑われた。
昨年(2021年)10月の早朝に男児が自宅で3回嘔吐し、嘔吐物に歯磨き粉が含まれていたこと、
買ったばかりの歯磨き粉が減っていたことから誤食が疑われたという。
歯磨き粉は男児の兄(2歳)が使用後に高さ約80cmの洗面台に置いたままにしており、
男児が椅子に乗って取り、誤食したとみられる。
男児は入院したが、血液検査や画像検査で異常が見られず、
飲食物の摂取が可能なことが確認されたため2日目に退院した。
フッ素入り歯磨き粉の誤食によりフッ化物と胃酸が結合しフッ化水素が形成され、
胃粘膜を刺激したことによる急性消化器症状と考えられた。
フッ素は歯質強化、虫歯予防にはとても効果があるが、
乳幼児の誤嚥には注意してうまく使いましょう。
誤食が疑われる際は、カルシウムを多く含む牛乳やアイスクリームなどを摂取することで、
胃内でフッ化カルシウムが形成され胃粘膜への刺激が防げるとしているので覚えておきましょう!
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