2022年5月12日 (木) 08:30
新型コロナウイルス感染症については、いまだ収束を見通せない状況ですが、
手洗い・消毒による手指衛生やマスクの着用等が
感染予防に重要であるという認識は、かなり定着してきました。
また、最近はウイルス感染対策として口腔ケアにも関心が高まっています。
さて、新型コロナウイルスは細胞由来の脂質二重膜を持つエンベロープウイルスに分類されますが、
洗浄剤にも含まれる界面活性剤がウイルス表面の脂質二重膜構造を
破壊することにより不活化されることが知られています。
同様に一般的な歯磨剤にも、「口中に歯磨剤を拡散させ、汚れを洗浄すること」を目的に、
発泡剤として、ラウリル硫酸ナトリウム(SDS)などの界面活性剤が含まれています。
私たちは歯磨剤中の界面活性剤により、
ウイルスが不活化され、その結果、他者への感染リスクが低減できるのではないかと考えます。
この理由については引き続きの検証が必要ですが、
歯磨剤に配合されているソルビトールやプロピレングリコールなどの多価アルコールにより、
SDSによる不活化効果が増強される可能性が示唆されています。
2022年4月20日 (水) 06:39
お子さんの安静時に口が開いている状態を指す「お口ぽかん」をご存知でしょうか。
長引くマスク生活から、親が子供の「お口ぽかん」に気づきにくく、
またはマスク内で息がしづらいことから「お口ぽかん」になりやすい、といった問題が浮上しています。
日常的に口がぽかんと開きっぱなしになってしまう状態を「口唇閉鎖不全症」といいます。
これは、口呼吸になってしまうため、むし歯や歯周病の原因、歯並びの悪化、
鼻の調子が悪くなるなど、様々な不調につながります。
口周りの筋肉は、普段何気なく行っている口の運動によって鍛えられています。
口周りの筋肉が未発達な赤ちゃんの時は、哺乳や指をしゃぶることによって発達を促します。
幼児期になると普段の食事や、風車を吹いたり、シャボン玉を膨らませたり、
口を使った遊びが口周りの筋肉を鍛えることに繋がります。
コロナ禍の状況ですから、衛生意識を持って行いましょう。
2022年3月2日 (水) 06:16
なぜむし歯になるのでしょうか。
それはむし歯菌がいて歯を溶かしてしまうからです。
歯磨きが十分にできないと酸によって歯が溶けてしまいます。
小さなむし歯はプラスチックを詰めたり、
型をとって小さな銀歯を入れたりして1~2回の治療で済みますが、
放置してしまうとどんどん大きくなり神経まで達してしまうことがあります。
そうすると何度も薬を交換したり、大きな銀歯をかぶせたりするようになり、
治療の回数も増え、治療費もどんどんかかってきます。
定期的に歯科医院を受診すると自分では分からなかったむし歯を発見してもらうことができ、治療も最小限で済みます。
神経を取ってしまった歯の治療を途中にしてしまうと、痛みなくむし歯が進行してしまい、
抜歯になってしまう可能性もあります。
根の中で膿んでしまうと腫れたりして治療前よりひどい痛みを引き起こすこともあります。
そのため治療は最後まで通うべきです。
そもそも治療も大事ですが、普段の歯ブラシでむし歯は予防ができます。
定期的に歯科医院を受診し、歯ブラシ指導を受けると良いでしょう。
歯ブラシ指導を受けた後は時間がたつとまた自己流に戻ってしまうことがあるため、
定期的にチェックしてもらうと、そのたびに再確認ができます。
早速かかりつけの歯科医院を受診してはいかがでしょうか。
2022年2月8日 (火) 16:48
ライオン株式会社は、20〜69歳の男女4,491名のデータをもとに、
口腔状態と主観的な風邪の引きやすさの関係を統計的に分析した結果、
口腔状態の悪さ(歯周病罹患や顎関節の不具合)と風邪の引きやすさの間に関係があることが示され、
口腔状態の悪化が風邪の罹患率を高める可能性が示唆されました。
研究の背景に新型コロナウイルス感染症の流行により、
感染症にかかりにくくするための防御機能である、身体の免疫力に対する関心が高まっています。
睡眠の質の低下や食事における栄養バランスの偏り、ストレスの高さは、身体の免疫力を低下させ、
風邪などの感染症を引き起こしやすくすることが知られています。
一方、口腔状態は、糖尿病などの全身健康と深く関係していることも知られており、
感染症に対しても、口腔粘膜は感染ルートの一つであることが示唆されています 。
また、歯科衛生士による専門的な口腔ケアを行うことで
高齢者のインフルエンザの罹患率が減少したという報告もあります 。
2022年1月8日 (土) 16:55
あけましておめでとうございます!
今年も弦間歯科医院スタッフ一同、
皆様のお口の健康をお守りするために一丸となって治療に
取り組みますのでどうぞよろしくお願い致します。
新型コロナウイルスの第6波も増加傾向にありますが、
当医院は衛生管理、感染予防対策は万全に行っておりますので
安心してご来院ください。
2021年12月9日 (木) 15:24
デンタルプロ(大阪府八尾市)と日本歯科大学新潟の研究グループは、
歯間ブラシと歯ブラシはどちらが先に使用した方が
プラークコントロールに対して有効かについて実験を行い、
第63回春季日本歯周病学会学術大会で結果を発表した。
歯周病予防や治療のためにプラークコントロールは重要だ。
歯周病のリスクが高い歯間部の清掃用具の一つに歯間ブラシがあるが、
一般的に歯ブラシの使用後に歯間ブラシを使う人が多いことから、実験を行うことにしたという。
その結果、プラーク除去の変化率は、歯間ブラシを最初に使った場合、平均で69・9%、
歯ブラシを最初に使った場合が55・3%で、
歯間ブラシを最初に使った方が、プラークが除去された割合は高かった。
デンタルプロによると、一般的に歯間部は、歯ブラシだけでは
約60%しかプラークを除去することができず、
歯ブラシとデンタルフロスの併用で約86%、
歯ブラシと歯間ブラシの併用で約95%までプラーク除去効果が向上するという。
2021年11月15日 (月) 09:09
軽症も含めて国民の約80%がかかっているとされる歯周病は
糖尿病、動脈硬化性疾患、肥満、誤えん性肺炎、アルツハイマー型認知症など、
多様な病気との関連が明らかにされている。
横浜市立大学付属病院(横浜市)消化器内科の吉原努医長は
「大腸がんの患者さんの4割以上で、だ液と大腸がん組織のヌクレアタムが同一であることを報告しました。
では、歯周病を治療すれば大腸がん組織のヌクレアタム量が減るのかと考え、調べたのです。
その結果、歯科治療で歯周病が改善した大腸がん患者さんのグループでは、
便中のヌクレアタムの量が歯科治療前に比べて明らかに減少しました。
歯周病が改善しなかったグループやもともと歯周病のないグループでは変化しませんでした」と発表した。
大腸がんのリスクを高める原因については、
「ヌクレアタムが宿主の炎症を引き起こしてがんの進行を促し、
免疫によるがん細胞への攻撃力を弱めるといったメカニズムが考えられています」と吉原医師。
「歯周病をきちんと治療すれば大腸内のヌクレアタム量が減り、
大腸がんのリスクが低下する可能性があります。
大腸がんを含むさまざまな病気の予防のためにも、
歯周病の治療や口腔ケアをしっかり行いましょう」と呼び掛けている。
2021年10月24日 (日) 10:25
最近出てきた歯科の問題として「Tooth Wear」という概念があります。
普通に訳すと「Tooth」は「歯」で「Wear」は「衣服」となるので歯にカバーをするのかな?と思うのですが、
「Wear」には「摩耗」や「磨耗」などの意味もあり、歯が欠けたり溶けたりすることをあらわしています。
このようなことはこれまである程度仕方がないことだと片付けられていたことも事実ですが
欧米を中心に研究が進み今や国境を越えた問題といわれています。
症状として歯が磨り減りかみ合わせの面が平らになったり陥凹したりするのが特徴ですが
歯の側面(根元)も陥凹したりするともはや歯の原型は失われてしまいます。
ひどくなると痛みなどの症状が出て神経の治療が必要となることがあります。
原因としては一般的に咬耗、摩耗、酸蝕の3つとされていますが、詳しい因果関係については未だ解明されておりません。
対策としては、原因が多岐にわたるため。歯科医師と十分に話し合いながら、
生活習慣との関連を検証する必要があります。
咬耗に対しては歯ぎしりの治療にも用いる硬いナイトガードや
柔らかいタイプのマウスピースを使用して歯を守ったりします。
摩耗に対しては正しいブラッシング方法を歯科衛生士に指導してもらいましょう。
酸蝕に関しては清涼飲料水やイオン飲料などをはじめワインやレモンのような
酸性度の高い飲食物を過度に取りすぎないよう注意が必要です。
やはり定期メインテナンスの中で管理してゆくことが少しでも進行をとめる手段としては有効ですが
Wearの重症度によってはむし歯の治療に準じて詰めたり被せたりすることも必要となります。
2021年9月3日 (金) 11:56
病原体が体内に侵入して病気の症状を引き起こすことを感染症といいますが、
その病原体には細菌やウイルスなどが挙げられます。
新型コロナウイルスが持つ鍵に合う細胞は人間の鼻粘膜や目など体の各部にありますが、
口の中の特に舌の表面にも多くあり、ウイルスの侵入経路になっています。
新型コロナウイルスの症状の一つに味覚障害がありますが、
これは舌の表面から侵入するウイルスの猛威によって
味を感じるレセプター(味蕾細胞)が破壊されるために起こるのです。
歯周病がない人はコロナが重症化する割合が2.3%なのに対して、歯周病がある人は12.8%と5.6倍も高い。
また、死亡するリスクに至っては8.81倍もの差があります。
歯周病がコロナの病状に大きく影響していることは明らかです。
実は2021年3月19日の参議院予算委員会で、山田宏議員が
「歯科医療とコロナ」をテーマとして取り上げ、上表のデータが示されました。
この一連の質疑応答の中で、田村憲久厚労大臣は「歯科医院は感染症に対して非常に注意深く対応している」と発言。
コロナ対策を担当する西村康稔経済再生担当大臣は
「歯科治療で感染が広がったという報告は今まで受けたことがない」「口腔の健康が健康管理の基本」と答弁しました。
また、菅義偉総理は「口腔の健康の保持増進を図ることは、
健康で質の高い生活を行う上で極めて重要な役割を果たしていると認識している」とコメント。
さらには「コロナ禍においても国民のみなさんが必要な受診や歯科健診等を行うよう、
国としても今働きかけをしている」と宣言しました。
このメッセージは国民のみなさんに届いているでしょうか?
2021年8月8日 (日) 08:55
口腔内の常在菌のバランスが乱れ、虫歯菌や歯周病菌などの悪玉菌が優勢になることで、
口腔内に留まらず全身の健康に対しても悪影響を及ぼすことが近年の研究で明らかにされている。
なかでも細菌の塊である「プラーク」や舌表面に付着する「舌苔」を放置することで、
歯周ポケットにプラークが溜まり、歯茎が炎症して溝が深くなることで歯周病となる。
厚生労働省が3年ごとに実施している「患者調査」によると、
2017年の「歯肉炎および歯周疾患」の総患者数(継続的に治療を受けている者)は、
398万3000人で、前回調査よりも約67万人増加している。
また同省が5年ごとに実施している歯科疾患実態調査では、2016年の年代別の歯周病有病率は、
30~60代にかけて高く、30代以上では3人に2人と、歯周病はまさに国民病と言える状況となっている。
専門家への取材から、口腔内の乱れが全身疾患に繋がる一例を挙げると、
歯周病菌が作り出すタンパク分解酵素が、口腔内の粘膜を破壊してウイルスや細菌の侵入を許し、
ウイルス性・細菌性疾患の重症化の危険性を高めるという。
さらに歯周病菌が血液に入り込み、全身を巡ることで糖尿病や動脈硬化、心筋梗塞をはじめ、
アルツハイマー型認知症の原因物質とされるアミロイドβを増やすことも明らかにされているという。
最近の研究では、歯周病菌の一部が胃を通過して腸管に入り込み、腸管内の細菌叢を乱すことで、
大腸がんの原因になること、がんの転移を促進すること、
さらには食道がんや関節リウマチなどの病態とも関連しているとの研究データも出ているという。
オーラルヘルスケアはまさに、全身疾患を予防する1丁目1番地だ。